質問
相続が発生したらどのような流れで申告・納税まで進んでいくのでしょうか?
答え
Ⅰ.被相続人の死亡(相続発生)
・死亡届を市町村役場に7日以内に死亡診断書又は死亡検案書を添付して提出します。
・葬式費用の領収書等を整理します。
・遺言書が存在する場合は家庭裁判所で検認を受け、その後開封します。(公正証書遺言の場合は不要です。)
・相続人の確認をします(被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取得)。相続人に未成年者がいる場合には、家庭裁判所に特別代理人の申請をします。
Ⅱ.相続放棄、限定承認(相続開始を知った日から3ヶ月以内)
・債務が多い場合には相続放棄をすることができます。
・債権と債務のどちらが多いかわからない場合には限定承認することができます。これは、相続財産の限度内で債務を弁済するものです。
・相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄・限定承認のいずれもいなかった場合には、単純承認となり、すべての債権・債務を引き継ぐことになります。
Ⅲ.所得税の準確定申告と納付(相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内)
・不動産所得や事業所得などの所得税の確定申告が必要な人は通常、翌年3月15日までに前年分の所得の確定申告を行いますが、個人が死亡した場合には、その年の1月1日から死亡の日までの期間の所得を相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に確定申告(準確定申告といいます)をしなければなりません。
この申告は相続人全員が納税者となり、被相続人の所得申告を行う義務があります。
Ⅳ.相続税の申告と納付(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)
・被相続人の遺産に対して相続税がかかる場合には、相続開始を知った日から10ヶ月以内に相続人全員が相続税の申告・納税をしなければなりません。
相続税は相続人1人1人が実際に取得した財産に対して相続税が算出されるため、申告期限(10ヶ月)までに遺産分割協議が相続人間で整っていることが前提になります。
・相続税を現金納付する場合には10ヶ月以内に納税しなければなりませんが、その他の納税方法の延納や物納も申告期限(10ヶ月)までに申請書を提出し許可を受けなければなりません。
Ⅴ.遺留分の減殺請求(相続開始を知った日から1年以内)
・民法では、法定相続人が必ず相続することができるとされている最低限の相続分(=遺留分)が保証されています。万一、遺言によって遺留分未満の財産しかもらえなかったときには、遺留分を侵した相手に対して1年以内に「遺留分の減殺請求」を行うことで、これを取り戻すことができます。
なお、自分の遺留分が侵害されていることに気がつかない場合であっても、相続開始から10年経過すると遺留分の請求権は消滅します。
質問
私の兄が借金を残して死亡しました。遺産は兄の妻子が相続するはずですが、彼らが相続放棄をしていれば、私が借金の返済義務を負うことになりかねません。義姉と甥が相続放棄をしているかどうかを調べるにはどうしたらよいでしょうか。
答え
相続放棄の申述の有無の照会
相続人が相続放棄をしたか否かを知りたい場合には、相続開始地(柀相続人の最後の住所地)の家庭裁判所に対して、相続放棄の申述の有無を照会します。
照会ができる人は、相続人(共同相続人、後順位相続人)および相続債権者等の利害関係人です。
「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書」の提出および戸籍関係の書類(相続関係図やそれを裏付ける戸籍謄本等)や借用書などの利害関係を証する書面を添付しなければなりません。被相続人の最後の住所地の住民票の除票(本籍地の表示のあるもの)も必要です。
相続放棄申述受理証明
相続人が相続放棄したことの証明を得るためには、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書を申請します。
利害関係の存在を証する書面を添付しなければならず、申請人が共同相続人や後順位相続人であれば、被相続人との相続関係が明らかになる戸籍謄本、申請人が債権者であれば、金銭消費貸借契約書や債務名義の写し等を添付する必要があります。
質問
父が死亡し、生命保険金を受け取りました。受取人は私だけです。ところが兄弟から保険金を遺産分割の対象にせよと求められました。どうすればいいですか。
答え
兄弟からの要求に応じる必要はありません。生命保険の契約者が自分を被保険者として、相続人の一人を保険金の受取人に指定した後に死亡すると、受取人には保険金請求権が発生します。
これは受取人の固有の権利で、相続財産には含まれません。このことは平成16年10月29日の最高裁判所の判例などにも示されており、兄弟の要求に応じなくても法的に問題有りません。
死亡した人(被相続人)の保有していた不動産、有価証券などの財産は、遺言で特別の指定が有る場合を除いて、死亡と同時に相続人の共有の財産となります。しかし受取人が特定された生命保険金はそもそも相続人の共有財産にはならないのです。
会社員や公務員が在職中に死亡した場合に支給される退職金(死亡退職金)はどうでしょうか。死亡退職金の受給者について、公務員は法律や条例などで、民間企業は就業規則で定めています。「民法上の相続人と異なる決め方をするケースが多い」のが実情で、受給者の固有財産として「遺産分割の対象にならないことが多い」といえます。
遺産分割の対象になるもの...不動産、動産、現金、株式、ゴルフ会員権など
遺産分割の対象ならないもの...受取人が特定された生命保険金や死亡退職金
もらう人が特定された生命保険金や死亡退職金は相続人の「遺留分減殺請求」の対象にもなりません。遺留分とは、法定相続人に認められた最低限の権利で、それを侵害されている人が一定の財産を渡すように求めることができる権利です。
生命保険金や死亡退職金はそもそも相続財産ではないため、遺留分減殺請求の対象ではないのです。
ただ、生命保険金の受取人が特定されず、単に相続人とされている場合には、保険金を法定相続分に応じて取得することになります。
質問
父の遺産である自宅は、兄と私の共有とすることで協議がまとまっていましたが、実態としては兄家族が居住しており、私は使用していません。遺産を分けるときにいったん共有とはしましたが、これを分割したり、金銭で解決するにはどうしたらよいでしょうか。
答え
遺産分割協議が成立するとそれぞれの遺産は、相続人それぞれの所有となります。
動産や不動産は相続人何名かが共有する内容の分割協議が成立する場合もあります。
特に不動産は形状等や誰かが住んでいるなどの理由から売却ができなかったりするため共有とすることがあります。
しかし、共有とはいっても相続人のうち1人が住み、共有物である不動産から利益をえているものの他の共有者はただの共有名義人になっていることが少なくないようです。
そこで、利益をえていない共有者がその分割を求めることになります。
相続財産である土地建物は遺産分割協議を経て共有になると遺産共有から民法上の共有関係になります。分割請求も民法上の規定に従って行われることになります。調停の申立ても家庭裁判所ではなく簡易裁判所に民事調停を申し立てることになります。
ところで、民法249条以下に共有についての規定を置いています。そして分割をしない旨の契約がある場合を除いて、いつでも分割請求ができると定められています。調停の申立ての趣旨は自分の望む分割方法でかまいません。その際はそのような分割を望む理由を申立書に紛争の要点として記載します。
調停が成立すると調停調書が作られ、裁判上の和解と同じ効果が生じます。
調停調書はそれをもって登記手続ができます。
調停での解決は訴訟による判決とは違い、当事者の生活利益に合致した柔軟な条項を盛り込んで解決を図ることができます。共有分割後の処理にも配慮した条項を入れることができます。たとえば登記費用、測量費用、公租公課などの負担や価格賠償金の支払時期や支払方法などを定めることができます。
民法では裁判による共有分割について共有物を実際に分ける現物分割を原則とし、それが無理な場合には競売を命じることを定めています。
民法上は上記2つの方法が定められていますが近似の判例では共有者の1人が共有物全部を取得し他の共有者に対して価格賠償を命ずる、といった分割方法も認めています。
共有物の性質や共有関係の発生原因、共有物の利用状況、分割された場合の価格等あらゆる事情を総合的に考慮し、共有物を特定の者に取得させることが相当であると認められること、取得する者に適正な価格で価格賠償できる資力があること、共有者間で実質的公平を害しないと認められることが要件とされています。
【ワンポイント】
共有分割の調停を申し立て、実質的不公平がないように分割方法を話し合いましょう。
調停が不成立の場合共有分割の民事訴訟を提起します。
質問
私は自宅で母と暮らしていましたが先日母が亡くなりました。自宅は母の名義で母の遺産はこの自宅のみです。相続人は私と兄だけなので私がこのまま無償で住み続けることができるなら、自宅の土地建物の権利を全て兄に相続させてもよいと考えています。どのように遺産分割をすればよいでしょうか。
答え
不動産に住んだり、動産を使ったりする権利を使用収益権、と言います。
不動産の場合の使用収益権には賃貸借権や使用貸借権などがあります。
賃貸借契約は賃料を払って使用収益する契約で、使用貸借契約は賃料の負担なしに使用収益する契約です。
建物の賃貸借契約は借地借家法の適用を受け、もう一方の使用貸借契約と比べると、強い保護を受けられます。
生前の母と相談者の間には、自宅の使用形態態様によって使用貸借があったといえるか、あったとして母死亡後も引き続き使用貸借権があり、全て相続した兄に貸し主の義務が承継されるか、は難しい問題で議論のあるところですので
遺産分割協議において相談者の使用収益権を設定し、それを遺産分割協議書にしておくのが無難です。
賃貸借とするなら相談者は賃料の負担はありますが法律により強い保護があります。
使用貸借とするなら賃料の負担はありませんが、たとえば兄が自宅を第三者に売った場合、売り主に対して使用貸借権を対抗できないなど保護は弱くなってしまいます。
この他、使用収益権の設定が必要な場合の例は土地と建物を別々の相続人が取得する場合です。建物のみを取得する者にとって土地の使用権原は必要となります。
借地借家法が適用される賃貸借契約にするか、これが適用されない使用貸借契約にするかについては、当事者間の事情によって慎重に決めるべき問題です。
【ワンポイント】
不動産を相続しない相続人が引き続きその不動産に住み続けるためには
賃貸借や使用貸借といった使用収益権を設定する遺産分割をするのがいいでしょう。
質問
父が亡くなり、相続人は私と姉だけです。父が残した遺産は自宅だけで姉は父と同居していたので遺産は姉がすべて相続するという遺産分割協議が成立しました。 しかしその後になって父の債権者を名乗る人から実は父には借金があることを聞かされ私に返済をするよう迫ってきました。 遺産の分割を受けていないのに返済する義務はあるのでしょうか。
答え
債務(借金)の相続については相続人が協同して相続すると民法に規定があり(896条)もし相続人間の協議(遺産分割協議)によって特定の相続人に単独で相続させると決めても、各相続人間で負担割合を決めても、債権者には対抗できません。金銭の債務は不動産などと違い分けられる債務です。そのような債務を可分債務といって、この可分債務については協議して相続割合を決めるものではなく、相続開始(被相続人死亡時)と同時に法定相続分の割合で相続人に帰属するというのが判例です。
被相続人の権利義務一切を承継しないようにするためには家庭裁判所での相続放棄手続が必要です。
しかしこの場合は単純承認した事になる【法定単純承認事由】です。
遺産分割協議の時点で法的には単純承認(権利も義務も総て相続することの承認)したこととなりますのでその後に相続放棄することは許されません。
このような場合、遺産分割協議が無効であれば法定単純承認事由が発生していないと解され、相続放棄が認められる余地が出てきます。
社会通念上、相続人がもし、分割協議時に多額の債務が存在することをしっていたなら遺産分割協議を行わず相続放棄の手続をとったであろうと思われるような、分割協議の内容等であった場合には分割協議は無効であり、単純承認事由は存在していなかったことと見るべき余地がある場合には相続人が債務の存在を知ってから(通常の相続放棄ができる期間と同じ)3か月以内にした相続放棄の申述は受理すべきとした判例があります。
分割協議も法律行為ですので、法律行為の原則である【要素(重要な部分)に錯誤があれば無効】ということになります。
しかし類似の事案で申述を却下した判例もあります。
ご質問のケースであれば債務の存在をしってから3か月以内に相続放棄の申述を行うことが重要です。その際には遺産分割協議は錯誤により無効である具体的理由、相続放棄ができる期間の起算点となる日をしっかり主張立証できなければ相続放棄の申述は受理されないこととなってしまいます。
【ワンポイント】
遺産分割協議を行う前にしっかりと相続人を確定し、十分に遺産(財産、借金など)を調べましょう。存在を知らなかったとしても遺産分割協議に参加していない相続人がいた場合、遺産分割協議そのものが無効になりますし、思わぬ債務が遺産分割協議の後でてきた場合、遺産分割協議を無効と認められないと、債務の相続も単純承認したものとされます。
質問
夫が死亡し、相続人は妻の私と13歳の長女の2人です。遺産は土地建物と銀行預金です。 遺産分割はどのように進めればよいでしょうか?
答え
一般的な法律行為を未成年者が行う場合、親権者が法定代理人として同意したり、代理したりするのが原則です。
しかし法律行為の相手方が親権者自身である場合、未成年者である子の利益と相手方である親権者の利益が相反する事になり、相手方である親権者が法定代理人の立場で同意権、代理権を行使すると子の利益が保護されない事になってしまいます。
ご質問の事例は親権者と未成年者が共同相続人となった相続における利益相反のケースです。
この場合は親権者に代わって未成年者を代理してくれる特別代理人の選任を家庭裁判所に求めます。
申立ては分割協議の前に親権者が行い、申立て先は未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立書に添付する書類は各家庭裁判所で定めていますが
未成年者であること、親権者であることの証明(戸籍全部事項証明書等)
特別代理人の情報(住民票など)
利益相反に関する資料(遺産分割協議書案)等です。
【ワンポイント】
特別代理人は未成年者の利益のため、未成年者を代理して遺産分割協議に参加します。
遺産分割協議が成立し、遺産分割協議書を作成する場合の署名は特別代理人の
名前「相続人○○の特別代理人□□」とし、押印は特別代理人の実印で行います。
質問
父が死亡し、相続人は母と私と弟の3人です。遺産分割協議をしようと思っているのですが、父には家族に内緒にしていた預金があるようです。金額や取引銀行などはいまのところ判明していないのですが、将来、この預金が判明したときに備え、遺産分割協議はどのようにしたらよいでしょうか。
答え
まずは、遺産分割協議に入る前に、お父様の財産は郵便物やメモ書き、貴重品の保管場所や貸金庫などから手がかりを探し、預貯金は残高証明書等にて確認の上、遺産分割協議に入ります。しかし、見つけにくい預貯金や財産もありますので、そのときに備えて、後日に遺産の存在が判明した場合の遺産分割の方法について相続人間で話し合い、合意が出来ましたらその合意内容を遺産分割協議書に明記します。
では、どんな遺産分割の方法があるかといいますと、おもに次の3種類があります。
①新たな財産は、特定の相続人が取得する
②新たな財産について、取得割合を定めておく
③新たな財産について、判明後改めて分割協議を行う
新たな財産がどのようなものであってもこれを特定の相続人に取得させると相続人間で明白に合意がある場合が①です。
しかし、今から遺産分割協議しようとされている財産を法定相続分の比率で決めようとしておられる場合には、後日発見された財産についても同じような基準によって決めるのが公平になりますので、その場合は②になります。
また、新たな財産が些細なものや価値がないものなのか,高額なものになるか全く見当がつかない場合、③を選択するか、もしくは、些細なものは特定の相続人に、高額な場合は分割する・・・などという、①と③を組み合わせたものでもよいでしょう。
[例](①と③を組み合わせたもの)
「後日上記以外の遺産が判明し、その価格が50万円以下のときは相続人Aがこれを取得し、その価格が50万円を超えるときは相続人A,B,Cは改めてその分割の協議をする。」
[ワンポイント]
後日遺産の存在が判明した場合の遺産分割方法について、あらかじめ相続人間で話し合い、その合意内容を遺産分割協議書に明記します。
質問
昨年父が亡くなり、分割協議も終え、不動産は私が単独で相続することになったのですが、登記はまだしていません。すぐにでもしなければならないのでしょうか?
答え
相続登記は、お父様が死亡後すぐにしなければならないというものではありません。しかし、もう遺産分割協議を終え、既に財産処理の方法が決定しているのであれば、速やかに行うことが望ましいです。
法務局に対して相続登記を申請する際には、被相続人(お父様)の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)等を揃えなければなりません。この戸籍謄本等の書類は、役所での保存期間があり、長期間相続登記をしないままで置いておくと、いざ登記申請しようとしたときに、戸籍を揃えることができない...という事態が生じます。また、相続開始段階では、相続人は限られた範囲の者のみですが、長期間放置している間にこの相続人のうちの誰かが亡くなられた場合、その子供が相続人(代襲相続人)となる場合があります。そうなると、いざ遺産分割協議を行おうとしても、普段はつきあいがなく互いに顔見知りでなかったり、連絡先が不明であったり、相続人の人数も増えている可能性が高く、本来ならすぐに分割協議できていることが、権利を主張し合って揉めてしまい、分割協議が更に長期化することもあります。
また将来、不動産を売却しようとしたときに、被相続人名義のままでは処分ができず先に相続登記をしなければならないのですが、相続登記は通常、登記の準備から完了まで最低でも1~2ヶ月の期間を要するため、売却を急ぐ場合に、迅速に対応できないという事態が発生します。
今回は、遺産分割協議を終えられ、ご質問者が単独で相続されるということですが、もし仮にご質問者が相続登記をせずに放置していた場合、他の相続人が法定相続割合に従って相続登記をしたり、他の相続人に債権者がいた場合、その債権者が他の相続人に代わって相続登記をすることが可能です。この相続登記は、いずれも他の相続人の関与なしに登記できますので、注意が必要です。
このように相続登記がされただけの場合は、他の相続人に対し、遺産分割協議により単独で不動産を所有する事になったということを主張することが出来るので、特段問題はないでしょう。しかし、先述のように勝手に相続登記をされた後に、本来ならその不動産の持分を有しないはずの他の相続人がその持分を、事情を知らない第三者に売却したり、先述の債権者が他の相続人の持分に対して、担保権設定登記や差押登記をした場合、本来単独で相続する予定だったご質問者が「その持分の本当の所有者は自分だから、その処分は無効である」ということをそれらの者に対して主張できないという事態が発生します。
これらの理由を考えると、やはり相続登記は速やかに行う事が望ましいでしょう。
【ワンポイント】
相続登記を放置していると、後の手続に手間と時間がかかり、処分を急ぐときに対応できなかったり、単独所有するはずの物件が、先に他の相続人により法定相続割合に従って相続登記されて売却や担保にされたり...という事態が生じる可能性がありますので、分割協議を終えられたら速やかに相続登記を行いましょう。
質問
兄が借金を残したまま亡くなりました。兄には妻子がおり、相続すると思うのですが、もし彼らが相続放棄をしていれば、私が兄の借金の返済義務を負うことになるかもしれません。兄の妻子が相続放棄をしているかを確認するにはどうすればよいのでしょうか。
答え
相続人が相続放棄をしたかどうかを知りたいときには、該当する家庭裁判所(相続開始地=被相続人(お兄様)の最後の住所地の家庭裁判所)に対して、相続放棄の申述の有無についての照会をすれば、知ることができます。
これらの照会は誰でもできるというわけではなく、共同相続人、後順位相続人および相続債権者等の利害関係人に限定されます。
また、相続人が相続放棄したことの証明を得るためには、家庭裁判所に、相続放棄申述受理証明書を申請します。
手続は「相続放棄申述受理証明申請書」に必要な書類(被相続人の除籍・改製原戸籍謄本、被相続人の住民票除票、相続放棄申述人の戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)、申請人の戸籍謄本(3ヶ月以内のもの)、利害関係の存在を証する書類(※ただし、被相続人の戸籍謄本・住民票除票・相続放棄申述人の戸籍謄本は、相続放棄受理通知書の写しを添付する場合は不要」を添付し、申述を受理した家庭裁判所に申請し、「相続放棄申述受理証明」を証明してもらいます。この証明は相続放棄申述事件を受理したことを証明するもので、申請するためには、相続放棄申述受理の事件番号及び受理年月日を申請書に記載しなければなりません。
この申請権者は、相続放棄においては、共同相続人、後順位相続人および相続債権者などです。
そして、家庭裁判所がこれを相当であると認めたときには、裁判所書記官に証明書を交付させます。(しかし、申述人本人が証明書の交付を申請したときには、裁判所の許可は要らず、裁判所書記官によりその権限で交付することが可能です。)
【ワンポイント】
まずは、相続開始地(被相続人=お兄様の最後の住所地)の家庭裁判所に問い合わせて見てください。(具体的な手続は裁判所により異なります)