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遺産分割により共有取得した不動産を分割したい

質問

母が亡くなり、自宅は兄と私の共有とすることで遺産分割協議がまとまりました。ですが、実際は兄の家族が居住し、私は全く使用していません。いったん共有としましたが、これを分割したり、金銭を要求することはできないのでしょうか?

答え

 既に遺産分割協議を経て共有となると、それは遺産共有ではなく民法上の共有関係ということになり、分割請求も民法上の共有の規定に従って行われることになります。ですから、調停の申立ても家庭裁判所ではなく相手先の住所地を管轄する簡易裁判所に民事調停を申し立てることになります。

 共有の規定は民法249条以下に定められ、分割をしない旨の契約がある場合を除いて、いつでも分割請求ができると定められています。ですので、まず民事調停を求め、申立て時に、自分として望む分割方法があれば、それを共有分割申立書の「申立ての趣旨」に記載し、その理由も「紛争の要点」として記載します。

 調停が成立すると、調停調書が作成され、裁判上の和解と同一の効果が生じます。調停調書をもって登記手続も行うことが可能になりますから、それには不動産の特定が必要です。土地の一筆全部を移転登記の対象とする場合は、所在・地番・地目・面積で特定できますが、一筆の土地を分割する場合には、分筆手続を調停調書で強制執行ができないので、調停成立前に測量・分筆登記を行い、新しい地番をもって物件を特定できるようにします。

 調停での解決は訴訟による判決と違って、それぞれの生活利益にあった柔軟な条項を盛り込んで解決を図ることが可能であり、共有分割後の処理にも配慮する条項を入れることが可能です。例えば、登記・測量費用の負担や、公租公課の負担、価格賠償金が発生する場合はその支払方法や支払時期も定めることができます。

 民法は裁判による共有物の分割について、現物分割を原則とし、それが無理な場合は競売を命じることを定めています(民法258条②)。

 しかし、最近の判例では共有者の1人が共有物全部を取得し、他の共有者に対しては価格賠償を命ずるという分割方法も認めています。その後の判例にも、特段の事情を認めて全面的価格賠償による分割方法も認められたものもあるのですが、その一方、価格賠償を求めるものの支払能力が認められないとして競売を命じられたものや、現物分割することが社会通念上不可能であり当事者の意向や支払能力等に照して「特段の事情*」が肯認できないとして競売による代金分割を命じたものがあります。

 まずは、不動産の状況がわかる書類(土地・建物の登記全部事項証明書・固定資産税評価証明書・公図等)、遺産分割協議書等を用意し、弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

*「特段の事情」...共有物の性質、共有関係の発生原因、共有物の利用状況および分割された場合の価格等の事情を総合的に考慮し、共有物を特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、価額が適正で共有物を全部取得する者に支払能力があって、共有者間の実質的公平を害しないと認められること。

 

【ワンポイント】

まずは共有物分割の民事調停を申し立て、その後、調停が不成立の場合は、共有物分割の民事訴訟を提起することになります。

農地を相続するときには

質問

父が耕作していた農地を母と兄弟で相続することになったのですが、母は高齢で耕作できず、他の弟達も遠方に住んでいるため同じく耕作できません。仕方なく長男の私が相続することにしたのですが、この農地を相続する為に必要な手続はありますか?また、もし農地を他人に貸したり売却するとなった場合、どのような手続が必要になりますか?

答え

 農地を相続する場合、農地法により都道府県知事もしくは農業委員会への届出が必要です。

 通常、農地法第3条では、農地の所有権移転には先述の都道府県知事または農業委員会の許可が必要であると定めていますが、相続は「被相続人の死亡」という事実から生じるものであり、法律行為によって生じたものではないので、許可は必要ありません。

 しかし、農地の権利を誰が取得したのかを農業委員会で把握する必要があるので、相続で所有権を取得した等の権利を取得した者は、農地のある市町村の農業委員会に届出をしなければならないのです。

 また、農地を相続しても、農業を継ぐ事ができない場合、農地を第3者に売却する事が考えられますが、その際には、農業委員会または都道府県知事の許可が必要になり、許可のない所有権の移転は無効となります。

 つぎに、農地を手放さずに他人に貸す場合(賃貸借もしくは使用貸借=無償貸借)が考えられますが、この場合も、原則として先ほどの売買と同じく農業委員会または都道府県知事の許可が必要とされています。これは、事前の許可申請が必要で、許可のない貸借契約は無効です。

 平成21年農地法改正により、農地の転用規制を強化し農地面積の減少を抑制するように改正されましたが、もう一方では農地の賃貸規制緩和などにより、賃貸借の存続期間については、民法604条で20年と定められていますが、農地の賃貸借期間は50年とされたり、農地を貸し付けると打ち切りになっていた相続税猶予制度も他人に貸し付けた場合にも適用する等の対策が取られています。

 いずれも農地所有者が安心して貸借関係を結ぶことで、農地の維持を図り、受け手の農地利用者も確保・拡大しようとするものですので、詳しくは農地のある市町村の農業委員会にお尋ね下さい。

相続債務があるとき

質問

鉄工所を自営していた父が先月亡くなりました。後継者がいないので鉄工所は廃業にしようと考えていますが、最近、取引先や金融機関から、父の債務に関する請求書が送られてきています。どのように対応したらよいのでしょうか。

答え

 まず、金融機関に対しての債務ですが、お父様が金融機関に対して債務を負っている場合は、「金銭消費貸借契約書等」を確認し、契約日、借入金、返済期限、返済方法等を確認し、相続開始日時点(お亡くなりになった日時点)の債務額を正確に把握する必要があります。債務額については、金融機関にて借入金残高証明書を発行してもらいます。この証明書は、相続税申告にも、債務控除の適用を受ける場合に添付しなければならず、必要です。

 取引先に対して負っている債務については、取引先より送付される請求書等によって把握できるのが一般的です。

 しかし、不明な点があり直接取引先に問い合わせするときは、よくわからないまま取引先の不合理な主張を追認することになったり、消滅時効の中断(債務承認)をしたことにならないように注意が必要です。

 また、廃業をする場合には、混乱を最小限に回避するためにも「廃業通知」を出しておきましょう。

 ただし、廃業しても債務は残っていますから、相続人は、相続放棄をしない限り、その債務を承継することになります。

 債務を承継する場合には、債権者である取引先や金融機関と、その返済方法等について協議しなければなりません。

 返済が困難である相続人は、場合によっては、自己破産や民事再生の申立てを視野に入れる必要があります。

 ですので、廃業通知と同時に、残された債務について相続人がどのような対処をするのかについても、その方針を取引先や金融機関に示すことが望まれます。

遺言書を作成する際のポイントは?

質問

遺言書を作成する際に、気をつけなければならないポイントはありますか?

答え

まず、遺言書の種類には3種類あり、

①公正証書遺言  ②自筆証書遺言 ③秘密証書遺言 があり、それぞれに長所短所があります。

手軽さでは「自筆証書遺言」が作成しやすいと言えますが、記入漏れがあると無効になるケースもあり、保管の面でも紛失や改ざんなどの恐れがあり、不確実だといえます。

やはり安全・確実な公正証書遺言をお勧めします。

公正証書は原本を20年以上公証人役場で保管してもらえ、万が一紛失した場合でも内容を確認することができます。しかし、証人2人が必要ということや、手間や手数料がかかるので、作成する場合は、相続税対策や「争族」対策も含めじゅうぶんに検討した上で作成するようにしましょう。

 

自分の財産を自由に処分することは当然の権利ですが、民法では一定の相続財産を一定の相続人のために保障しており、これを「遺留分」といいます。したがって、相続人が有する遺留分を侵すような偏った遺言書を作成したからといって、その遺言書そのものが即無効にはなりませんが、「争族」の火種となってしまいます。

よって、財産配分の理由も含めて、遺留分を侵害しない範囲での遺言を残されることをお勧めします。

あらかじめ税理士等に相続シミュレーションなどをしてもらい、遺留分や相続税資金など問題点はないか相談の上、作成されると良いでしょう。

また、平成15年から「相続時精算課税制度」が創設され、この制度を利用して生前に贈与される方も増えてきましたが、この制度を利用して生前に贈与するものは、相続時に相続財産に持ち戻されることに注意しなければなりません。

当然のことですが、生前贈与と遺贈(亡くなったらあげる)は異なりますので、既に遺言書を作成しておられる方、あるいはこれから遺言書を作成される予定の方で、この制度を利用して生前に財産を移転した、あるいは移転しようとお考えの方につきましては、各相続人への相続財産配分のバランスをよくよくご検討の上で、遺言書を作成・再作成いただくことをお勧めします。

相続財産が不動産しかないときの相続対策は?

質問

私には2人の息子がいますが、私の財産は自宅の土地・建物と預貯金だけです。次男は遠方に住み、長男とは同居しているため、自宅は長男に相続させたいのですが、そうすると次男と不公平になり揉めるのではと心配です。どうすればよいでしょうか。

答え

相続時の不動産の分け方には次に挙げる4つの方法があります。

 ①現物分割(不動産自体を物理的に分割する)

 ②換価分割(不動産を売却し、その代金を分割する)

 ③共有(不動産を共有持分で所有する)

 ④代償分割(不動産を相続する相続人が、相続しない他の相続人に金銭などを支払う)

 

①の現物分割と②の換価分割は、相続人がが相続後も自宅に住み続ける予定であれば困難です。③の共有も、売却や建て替えの時には共有者全員の同意が必要なため、後々大変なことになりがちです。また、名義は共有にしていても、実際に住むのは長男だけで売却も困難ということであれば、次男には何のメリットもありません。

 それでは残る④の代償分割ですが、これは生命保険を活用することにより選択しやすくなります。例えば、相続人がお二人の息子さんだけだとした場合、仮に自宅の評価額が2000万円とし、その自宅は長男が相続するとします。ご質問者はご自分に1000万円の生命保険をかけ、受取人は長男にしておきます。この生命保険金は相続財産ではなく、長男ご自身の財産になります。しかし、長男は2000万円の自宅を相続したのですから、生命保険金の1000万円を次男に渡すようにするのです。こうすることにより、理屈上は長男も次男も1000万円ずつ相続で受け取ったことになります。

 次男からすると、「長男は2000万円の自宅をもらえたのに、自宅は1000万円だけ?」と不満に思うかも知れません。しかし、現に住んでいる自宅はそう簡単には売れませんし、立地条件等によっては買い手もつきにくく、取得した時期によっては譲渡所得税もかかる可能性もあるので、2000万円の自宅よりも1000万円の現金の方が価値があるというように説得してみてはいかがでしょうか。

 これらは、念のために遺言書を作成し、生命保険金のお金を使って代償分割をするようにということと、同時に付言事項に理由も書いておくと賢明でしょう。

 

【ワンポイント】

主な相続財産が自宅しかないとき、生命保険を活用し、将来、代償分割を選択できるように対策しておきましょう。

 

相続放棄するはずの父が...

質問

昨年、多額の借金を残して祖父が亡くなりました。相続人の父は相続放棄する予定でしたが、相続放棄の手続をする前に急逝してしまいました。父の遺産は相続したいのですが、祖父の借金は相続したくないのです。どのようにしたらよいでしょうか。

答え

 お祖父様(Aとします)の相続について、Aの相続人であるお父様(Bとします)が相続の承認も放棄もしないまま熟慮期間に死亡し、Bのお子様であるご質問者(Cとします)がBの相続人となった場合を「再転相続」といいます。民法915条1項に定められている期間については、「相続人CがBの死亡により自己が相続人になったことを知った時から」起算します(民法916条)。これは、あくまでもCが「Bの死亡により自己が相続人になったことを知った時」であり、CがAの死亡を知っていたかどうかは直接には関係ないということです。

  A→B→Cと再転相続が生じた場合、Cは被相続人Aの相続について承認または放棄する地位をBから承継することになり、被相続人A→相続人Bの第1相続と、被相続人B→相続人Cの第2相続という2つの相続につき、承認・法規の選択権を持つことになります。

 この場合のC(ご質問者)は、

  ①第1相続、第2相続のいずれも承認する

  ②いずれも放棄する

  ③第①相続については放棄するが、第2相続については承認する

という3つの選択が可能です。

今回のご質問の内容は上記③にあてはまりますので、選択可能です。Cが第2相続を承認した場合は、第1相続について改めて承認または放棄を(申述先=Aの最後の住所地の家庭裁判所にて)することになります。

 余談ですが、ご質問とは反対にお祖父様に財産がおありでお父様に借金が多額にある場合、「お祖父様の相続だけ承認し、お父様の相続は放棄する」を選択したいとき、上記の3つの選択にはあてはまりません。なぜできないのでしょうか。それは、Bの相続について放棄すれば、Bの有していた選択権も承継しなかったことになるからです。ですから、Bの相続放棄をすれば、当然Aの相続も放棄したことになるのです。この場合については、Aの相続については手続の必要はありません。

 Cは、Aの相続について放棄した後も、熟慮期間内であればBの相続放棄も可能です。既に行ったAの相続放棄の効力は訴求的無効にならないので、第2相続は何ら影響を受けないため、承認も放棄も可能なのです。

 

【ワンポイント】

再転相続の場合は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に相続放棄の申述手続をすれば、「第1相続のみ放棄」「第1・第2相続いずれも放棄」の手続が可能です。(「第2相続のみ放棄」はできません)

不動産の保有状況を調べたい

質問

父が亡くなりました。生前、父は、先祖代々から引き継いでいる地元の山林と田畑を所有していると言っていました。しかし、相続人である私たちは、その山林や田畑の正確な所在がわかりません。どうやって調べたらよいでしょうか?

答え

 まず、不動産の所在がある程度わかる場合には、権利関係を確認するために不動産登記簿を閲覧し、登記事項証明書を取得します。

これらは、管轄法務局で閲覧請求や交付請求をしないといけないので、まずは法務局のホームページの「管轄のご案内」( http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html)にて調べると良いでしょう。

 登記簿上の土地・建物の地番・家屋番号等は、住居表示とは異なりますので、登記済証(権利証)に記載のものを見て確認します。(なければ登記所に備えられた地図や住居表示地番対照住宅地図等で確認します。)

 現在は、全ての法務局登記所において登記事務がコンピュータ化されているので、不動産登記簿謄本(抄本)は、「登記事項証明書」(全部事項または一部事項を証明した書類)に替わっており、管轄法務局に請求すれば誰でも交付を受けることが可能です。

詳しくは管轄法務局等にお問い合わせ下さい。

 上記の他に、「名寄帳(土地名寄帳・家屋名寄帳)」というものが市区町村にあります。これは、市区町村がその市区町村内の土地及び家屋について、固定資産課税台帳に基づいて作成するもので、納税義務者の所有する固定資産(土地・建物)の一覧が記載されており、被相続人の名寄帳を見れば、被相続人が所有していた不動産の所在を調べることができるのです。

 名寄帳を取り寄せる際、「単名所有分(1人で所有)」と「共有所有分(数人で所有)」は別々になるので、注意が必要です。

 また、法人名義の不動産は名寄帳に記載されないので、個人名では名寄帳に記載されていなくても、実は法人名義で不動産を所有している...ということもあり、また、先祖代々から相続によって引き継いだ土地や家屋の名義がまだ先代以前のままになっているため、被相続人名義で探してもわからない可能性もあります。ですので、今回のご質問者の場合は、念のために、祖父母の遺産の範囲と、その相続がどのように行われたかを確認しておく必要があります。

 市区町村が作成している書類は他に、「固定資産評価証明書」があります。この書類は、相続税額を算定する際、土地や家屋の評価のために必要になります。名寄帳も固定資産評価明細書も「相続人であることが確認できる書類(戸籍謄本等)」と「申請者の本人確認ができる書類(運転免許証等)」を添付すれば請求することが可能です。詳細は各市区町村にお問い合わせ下さい。

 

【ワンポイント】

権利証等を元に、不動産登記事項証明書を取得します。その他、名寄帳や固定資産評価証明書を市区町村に請求し、所在や評価を調べることができます。

封印のある自筆証書遺言を開封したいとき

質問

私は、父から「もしもの時に」と父が自分で書いた遺言書を数年前から預かっています。その父が先日亡くなったので、この遺言書の内容を確認したいのですが、封印されているので勝手に開封して良いのか困っています。開封の手続きなどがあるのでしたら教えてください。

答え

 「父が自分で書いた遺言書」というのは、「遺言者(お父様)が遺言書の全文・日付・氏名などを自分(お父様)の手で書き、自分(お父様)で押印して作成されたもの(=自筆証書遺言)」ですね。この自筆証書遺言は、どのような状態かにかかわらず、直ちに家庭裁判所(遺言者の最後の住所地の家庭裁判所)に提出し、「検認の手続」を取る必要があります。

  遺言書を保管する者または遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、検認を請求しなければなりません。しかし、申立権者が遺言書の提出を怠り、検認を経ないで、家庭裁判所外で開封をしたり、遺言を執行した場合には、5万円以下の過料に処せられます。

 そして検認請求義務を負う相続人が遺言書を隠匿すると「相続欠格者(=相続権を失う)」となり、受遺者(遺言によって財産を受ける人)が遺言書を隠匿すると「受遺欠格者(=遺贈を受ける資格を失う)」となります。

 申立てをすると、家庭裁判所から相続人と利害関係人に検認期日の通知がなされ、その通知を受けた人は、その期日に家庭裁判所に行くことになります。

 遺言保管者(ご質問者)は、検認期日には保管している遺言書を持参します。

 家庭裁判所では、相続人や利害関係人の立ち会いの下で、遺言書を開封し、遺言書の用紙、筆記用具、内容、印、日付などを確認して検認調書が作成されます。

 なお、相続人に立ち会いの機会を与えればよいものと解されており、相続人が通知を受けながら検認の指定日に家庭裁判所に行かなかったとしても影響はなく、また、検認は遺言の効力を決定するものではないので、後日、検認済の遺言書の無効を争うことは可能です。

 遺言書の検認がされたときは、立ち会わなかった申立人・相続人・受遺者その他利害関係人には、裁判所書記官より通知が送られてきます。

 また、検認を終えた遺言書は、申請により「遺言書検認済証明」の発行を受けることができます。

 

【ワンポイント】

自筆証書遺言を発見されたときは、どのような状態であるかにかかわらず、直ちに「遺言者の最後の住所地の家庭裁判所」に提出し、「検認の手続」を取る必要があります。

相次いで相続が発生したとき...

質問

父が死亡し、その後まもなく母も死亡しました。相続人は私と妹の2人です。遺産は自宅の土地と建物、預貯金などです。遺産分割はどのようにしたらよいのでしょうか?

答え

 まず、一次相続であるお父様の遺産分割協議を先に行い、お母様の相続する遺産を確定させます。その次に、二次相続であるお母様の遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成します。

 遺産分割協議書は、別々に作成することも、一次相続と二次相続の遺産分割協議を1つの遺産分割協議書にまとめることも可能です。

 しかし、相続税の申告は一次と二次と別々にしなければなりません。

 相続税の申告についてですが、配偶者の相続税額軽減を受けるには、分割済みであることが必要ですが、今回のご質問のように分割前に配偶者が死亡した場合は、一次相続の配偶者以外の共同相続人等と二次相続の共同相続人等(今回の場合では、いずれも「ご質問者」と「妹様」のお二人)によって一次相続の遺産分割をし、配偶者の取得財産が確定したときは、一次相続においても配偶者の相続税の軽減が適用されます。

 そして、二次相続についての相続税に関し相次相続控除制度が適用されます。

相次相続控除制度とは、「一次相続と二次相続との間が10年以内の場合、一次相続時に課せられた税額の一定割合相当額が、二次相続の申告時に課せられる相続税額から控除される」制度です。その趣旨は、短期間に相続が重なった場合、長期間相続がなかった場合よりも相続税の負担が重くなってしまうため、この負担を調整することにあります。

 

【ワンポイント】

まずお父様の遺産を確定させ、お母様の相続分をどうするかも検討し、分割協議のうえお母様の財産を確定させます。そして、お母様の取得財産と元々所有していた固有財産について分割協議を行います。

銀行の貸金庫に相続財産があるとき

質問

先月父が亡くなりました。父は銀行の貸金庫に預金通帳や現金の一部、その他重要な書類も預けていたようです。この金庫を開けるにはどうしたらいいのでしょうか?

答え

 貸金庫契約とは、利用者が金融機関の貸金庫という施設を利用し、その中に重要な書類や貴金属などの貴重品類を預け、それに対して一定の使用料を支払う契約です。正鍵と副鍵があり、正鍵は借主が預かり、借主とあらかじめ届け出た代理人が使うことができます。副鍵は金融機関が保管しています。貸金庫契約はいわば賃貸借契約であり、財産上の権利として、利用者が死亡した場合には相続の対象となります。

 借主死亡の場合には、あらかじめ届け出られた代理人の代理権は消滅しますので、貸金庫を開閉することはできず、共同相続人全員の立ち会いのもとでないと開閉ができません。しかし、貸金庫の鍵を持っていれば、実際上は開閉が可能であり、金融機関は利用者(借主)の死亡の事実を知らなければ貸金庫利用を拒絶できません。

 そこで、借主死亡の場合には、早急に金融機関に死亡の事実を通知し、以後、利用できないようにしてもらわなければなりません。

 先ほども申しましたとおり、利用者の死亡後は、貸金庫の利用は相続人全員でしないと実際上はできず、開庫の手続も相続人全員でしなければなりません。

 ただし、共同相続人間で、相続人の一部の人に借主の地位を承継させる旨の合意が成立している場合には、一部の人に貸金庫上の権利義務が承継されるため、一部の人が開庫することも可能となります。

 手続に必要な書類としては、各金融機関所定の相続手続依頼書をはじめ、被相続人の戸籍(除籍)謄本(もしくは戸籍(除籍)全部事項証明書)および改製原戸籍謄本(出生から死亡までのもの)、相続人全員の戸籍謄本(もしくは戸籍全部事項証明書)、相続人全員の印鑑証明書(発行より3ヶ月以内のもの)の提出が開庫時に必要です。

 そして、利用者死亡の場合、金融機関、相続人双方とも継続利用を予定していないため、多くの金融機関では、利用者の死亡による貸金庫の解約をする内容の相続手続になっているようです。

 しかし、引き続き利用したい場合は、相続とは関係なく新たに貸金庫の利用の契約を申し込みすることになります。

 

【ワンポイント】

貸金庫契約は、借主が死亡した場合、相続人全員の立ち会いがなければ開庫できません。必要書類等を金融機関に確認・準備し、相続人全員が集まれる早い時期に開庫手続をしましょう。

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