それでは、江戸時代以前の先祖をたどる技術について説明してまいりましょう。
①過去帳
寺では、檀家が亡くなると「過去帳」という帳面にその記録を残していきます。
これは実は江戸時代に終わったものでなく、現在まで各寺で続けられていることです。
②宗門人別帳
これは、正確にいいますと寺で作成していたものではありません。
幕府の命令で各領主が作成の義務を負い、村の庄屋や町の名主が作成していました。
~家ごとに、氏名や年令、檀家寺の名前を書きだしたものが、宗門人別帳です。そして、それに対して各檀家寺が「たしかにこの者は当宗の檀家です」と証明の印を押します。
③分限帳
これは、寺請制度とは関係のない史料です。
これは、各藩の職員名簿のようなものです。ですから、先祖が武士であれば属していた藩の分限帳にその名が記載されているはずです。
これも、藩が廃止される明治の初めまで作成されています。
以上から、皆様が御察知のように、幕末・明治初期のご先祖だけは、「過去帳・宗門人別帳・分限帳」と「明治からの戸籍制度」のどちらのグループにも登場してくることになります。
なお、次回は、1000年前の先祖にたどりつく方法について述べようと思います。
2010年8月 5日 10:59|エンディングノート
最近、「家系図を作って先祖をたどる技術」という書籍を読みました。
その本の中身を少し紹介いたします。
その本の中には、江戸時代以前の先祖をたどる技術として
①過去帳
②宗門人別帳
③分限帳
の3つがあります。
次回は、この3つの内容について説明いたします。
2010年8月 4日 10:28|エンディングノート
今まで戸籍についていろいろとお話をさせていただきましたが、戸籍はどのくらい前まで遡って請求できるかご存知でしょうか。
答えは、除籍謄本は保管80年ですので、80年以上前の戸籍を請求しても取得できません。
しかし、まだ80年を経過していない謄本は取得できますので、戦前の戸籍を取得することができます。
その場合、戦前は「戸主」制度であったため、当時に戸主と同居していた祖父母や曽祖父母が戸籍に記載されていたり、おじ・おばや甥姪などが記載されている謄本も見受けられます。
そしてその祖父母や曽祖父母の生年月日を見ると、明治以前の元号の記載があることもあります。
「慶応」や「文久」「安政」「嘉永」などを戸籍謄本で見られたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちなみに
慶応は1865~1867年
文久は1861~1863年
安政は1854~1859年
嘉永は1848~1853年
と5年もしないうちに元号が変わっていたようです。(他にも「元治」「万延」など1年で終わった元号も合間にあります)
ここまで遡ると、ご先祖様がどのような家族構成で暮らしていたかなどがわかり、家督相続や本家・分家の繋がりが見え、家族の歴史が見えてきます。
2010年7月27日 10:59|エンディングノート
今回は、国際結婚した場合の戸籍についてお話しましょう。
日本人が外国人と結婚すると、まずその日本人についての新しい戸籍が編纂されます。つまり、今まで入っていた自分の父又は母の戸籍から抜け出て、自分一人の新しい戸籍が作られ、そこに入る事になります。
しかし、戸籍というのは「日本国民の記録」なので、結婚した相手が日本人の戸籍に入ることはありません。つまり国際結婚の場合、性別関係なく、結婚しても戸籍には子どもがいなければ自分一人しか記載されていないという事になります。(外国人配偶者については、戸籍ではなく引き続き外国人登録によって管理されることになります。)
結婚の事実は「身分事項」の欄に「平成**年**月**日国籍**国**(西暦****年**月**日生)と婚姻届出・・・」というように記載されます。
では、「自分一人しか記載されない」のであれば、配偶者の表記はどのようになっているかと申しますと、上記の事実欄にしか登場しません。また、外国人配偶者の名前はアルファベット表記されずカタカナ表記で記されます。
余談ですが、婚姻届を出す際に色々な書類の訳文を作ることになると思います。その際全ての書類に同じ名前が記載されていなければなりません。たとえば「テリー」と「テリィ」はどちらも同じようなものだと思うのですが、きちんとどちらかに統一されていなければならず、統一されていなければ窓口で何度も書き直しと訂正印を押させられる事になるようです。
2010年7月20日 10:29|エンディングノート
今回は戸籍を郵送で請求する方法を紹介いたします。
戸籍は本籍地の役所で請求しなければならないと何度か説明いたしましたが、窓口だけではなく、郵送でも請求が可能です。
郵送申請で必要なものは
・申請用紙(役所のHPからダウンロード可。できない場合は必要事項※を便せん等に記載することで申請することが可能
・本人確認書類のコピー(運転免許証・パスポートなど)
・手数料(郵便定額小為替証書)→申請前にあらかじめ費用を役所に確認するか多めに入れる。
・返信用封筒(住所・氏名を記入し、切手を貼付)
・請求者(自分)と請求する戸籍内の人物が直系であるということを証明する戸籍のコピー
※必要事項...請求したい戸籍の本籍地、筆頭者、筆頭者の生年月日、戸籍の種類、必要通数、使用目的、請求者(自分)の住所・氏名・連絡先、必要な戸籍との続柄など
とくに連絡先は必ず記入しておくこと。記入内容の確認や費用等のことで、問い合わせの電話があることも少なくなく、連絡がつかず内容に不備がある場合は、そのまま返却されたり、必要な戸籍や部数が送られてこなかったりすることもあるので、連絡がつく電話番号を必ず記入しておきましょう。
2010年7月16日 13:32|エンディングノート
戸籍を請求するにあたって、出くわす問題があります。
それは「現在では消滅している市町村名」の問題です。
多くの市町村が、消滅・合併を繰り返している為、せっかく従前の戸籍の所在地を突き止めて、戸籍に記載されている市町村名の役場へ戸籍を請求しようとしても、その市町村役場は存在していない...ということがあります。
旧市町村名が現在のどこの市町村に該当するのかを確認できる本も存在しますが、1万円程度の値段もしますし、大きな書店でないと入手できない可能性もあります。(大きな図書館にはそのような書籍も置いてあるので調べることが可能です)
それに、次々と合併・消滅が進んでいくため、記載されているものが現状に追いついていないこともあります。
今では、インターネットを使って旧市町村名でキーワード検索すると、現在はどこの市に該当するのかということがほぼわかります。
また、インターネットを利用できない方は、都道府県の役場(県庁等)に電話で問い合わせて確認することもできます。(電話番号は、電話番号案内を利用するか、電話帳で調べないといけませんが...。)
また、古い戸籍は手書きで読みづらい為、解読できないものも出てきますが、それは役場の人に見せて確認してもらうと良いでしょう。(電話で問い合わせもできます)
2010年7月13日 10:32|エンディングノート
今回は戸籍の取得する権利についてお話します。
前回・前々回と戸籍を取得する作業についてお話しましたが、戸籍は誰の戸籍でも自由に取れるのか?という疑問が出てきます。
答えは、「自分の直系尊属の戸籍については自由に取得する権利がある」ので、自分の家系図をつくる際に、直系尊属を辿る為請求することについては問題はありません。
ちなみに直系尊属とは、父母・祖父母・曽祖父母・高祖父母などを指します。
おじ・おばなどは直系尊属ではありませんが、祖父母の戸籍・改製原戸籍・除籍を漏らさずに取得することで確認することができます。しかし、自分の直系がまったく含まれていないおじ・おばのその後の戸籍を請求する権利はありません。
また、いくら直系の人の戸籍でも、現実にはいきなりどこかの役所で、代が離れた高祖父母などの戸籍を取ろうとすることは難しいことです。
先祖代々ずっと同じ本籍地に戸籍が存在するなら、自分と先祖の関係は役所内で確認できるため証明の必要はないのですが、実際は代を追うごとに違う本籍地になり、日本全国いろいろな役所に散らばっていることが少なくないのです。
請求された役場も、請求書と戸籍内の人物が何代も離れていると、本当に請求者の直系の戸籍を請求されているのか判断のしようもありません。
ですので、自分と先祖が直系で結ばれていることを、それまでに取得した戸籍のコピーを全部提出することによって証明し、請求しなければなりません。
かなり面倒な作業といえますが、個人情報が多く記載された秘密性の高い戸籍の請求なので、そのくらい厳密に扱ってもらわないと安心できないでしょう。
2010年7月 9日 11:45|エンディングノート
前回は戸籍の請求の仕方について説明いたしましたが、注意点があります。
前回のブログで、「戸籍には従前の所属していた本籍地や筆頭者が必ず記載されているので、それを基に従前の戸籍を請求することができる...」とお話しました。
この作業を繰り返すことにより、父母、祖父母と遡って請求することが可能ですが、戸籍にもいろいろと種類があり、それは以前のブログ(戸籍について5~6)にて説明いたしました。現戸籍や除籍を取っただけでは不完全で、必ず改製原戸籍がないか確認しなければなりません。
1人の人間の戸籍でも婚姻・離婚・引越等で、転籍を繰り返している場合もあります。その場合は、転籍ごとに複数の役所をひとつひとつ辿っていかなければならないのです。
このときに、戸籍についての基礎知識がないと、役所の係の人にうまく伝わらず、大事な戸籍が漏れてしまうことがあるので気をつけなければなりません。
2010年7月 7日 11:54|エンディングノート
それでは、今回は実際に家系図を作成する為に戸籍を請求していく作業についてお話します。
まず、戸籍は、以前のブログ(エンディングノート...戸籍について2)にてお話しましたように、本籍地の市町村役場にて管理されています。
ですから、実際は京都にお住まいでも、本籍地が大阪府豊中市であれば、豊中市役所に請求し発行してもらうことになります。
自分が未婚で両親の戸籍に入っているという人もいれば、婚姻し自分が筆頭者で子供とともに戸籍に入っているという人もいるでしょう。
自分が筆頭者(あるいは筆頭者の配偶者)であれば、次に自分の両親の戸籍を取る必要があります。両親の戸籍もまた、両親の「本籍地」と「筆頭者(ほとんどは父親)」を知る必要があります。
では、その調べ方ですが、戸籍というのは、必ず戸籍に記載されている人が、過去にどの戸籍に所属していたかがたどれるようになっています。
【従前戸籍】○○県△△市××町1-2-3 田中○○
『○○県△△市××町1-2-3 田中△△戸籍より入籍』
などというように、各人が従前に属していた戸籍の「本籍地」、「筆頭者」が必ず記載されていますので、それにより従前に属していた戸籍を請求することができます。
2010年7月 5日 11:12|エンディングノート
前回予告しました通り、今回は「戸籍の改製」についてお話します。
戸籍の改製としては、昭和33年~36年くらいにかけて行われた昭和改製と、戸籍事務のコンピュータ化が認められたことに伴った平成6年以降の平成改製があり、古くは明治時代にも改製はありました。
改製により、戸籍は新しく作り変えられますので、その改製の時点で婚姻や死亡により戸籍から出た人(除籍者)は、改製後の新しい戸籍には記録されません。したがって、たとえば改製の前に子が婚姻した場合は、改製後の戸籍にはその子は記載されません。(改製される前は、子の欄に婚姻の事実と除籍の記録が行われ、名前を×印で消しています)
同じことは、改製以外にも、養子縁組や本籍の変更などで戸籍を新しくした場合にも起こります。
上記のケースで改製後に父が死亡した場合、相続手続等の為(相続人を確定させる為)、子が親子関係と死亡の両方の証明が必要なときは、改製原戸籍と改製後の戸籍の両方を取らねばなりません。
よって、昭和33年以前に生まれた方が現在までの戸籍を全て取ろうとすると、戸籍の改製が2回あり、その間に婚姻をされた場合は、少なくとも3通は戸籍謄本があるということです。(それ以前に家督相続等をされている謄本があると数はさらに増えます)
つまり、戸籍謄本を1通請求しても必要とする内容が載っていないことも多々ありますので、いつからいつまでの時期やどういう記録が必要かということを窓口に申し出るとよいでしょう。
2010年7月 1日 11:38|エンディングノート